遺言と家族信託の違いはなに?

遺言は一回だけ、家族信託は30年先までなら何回でもOK

遺言とは

人が自分の死後にその効力を発生させる目的で書き残しておく意思表示のことで、法的効力を持ちます
遺言は遺言者の死亡のときから効力を有し、生前のことについては決められません。
また1回しか財産の引継ぎ先を選べません。

遺言より優先されるものに「遺留分」がありますが、これは残された遺族の生活水準保護のために作られた最低限の取り分のことです。
配偶者、直系卑属(子供・孫)、直系尊属(両親・祖父母)に認められる権利で、兄弟姉妹に遺留分はありません。

ただし、これは遺留分を侵害する内容の遺言書を作成してはいけないということではなく、相続人が遺留分を請求しない場合は、遺留分を侵害するような内容の遺言書であっても有効です。
遺留分侵害額の請求手続きの時効は、相続開始や遺留分が侵害されたことを知った日から1年間です。
また、これらの事実を知らなかった場合でも相続開始時点から10年経過すると遺留分の請求権は消滅してしまいます。
期限を過ぎると、調停や訴訟を含む一切の請求手続きができなくなるので気をつけましょう。

遺留分割合相続人パターン各相続人の遺留分割合
1/2配偶者のみ配偶者1/2
1/2直系卑属(子や孫)のみ直系卑属(子や孫)1/2
1/2配偶者と直系卑属(子や孫)配偶者1/4
直系卑属(子や孫)1/4
1/2配偶者と直系尊属(親や祖父母)配偶者1/3
直系尊属(親や祖父母)1/6
1/3直系尊属(親や祖父母)のみ直系尊属(親や祖父母)1/3
遺留分

家族信託とは

自分が保有する不動産や預貯金などを信頼できる家族に託し、管理・処分を任せる財産管理の手法のことで、営利を目的としていません。
遺言は1回しか引継ぎ先を選べませんが、家族信託は法定相続にとらわれない引継ぎ先の指定が何世代にもわたって可能です。

家族信託制度

家族信託という制度には、「委託者」「受託者」「受益者」という3人の登場人物が存在します。

委託者

「委託者(預ける人)」は財産の持ち主で、財産を信じて託す人

受託者

「受託者(預かる人)」は財産を預かって、管理・運用・処分などをする人

受益者

「受益者(利益を受ける人)」は、財産の管理・運用・処分によって利益を受ける人

家族信託はどんな時に使うの?

  • 委託者が認知症になったときや判断力が低下したときに財産管理をしてもらう
  • 遺言書や贈与では難しい柔軟な相続対策ができる
  • 事業承継対策として使うことができる

【パターン1】

  1. 父(委託者・受益者1)は、障がいがあり財産管理ができない長男の生活をささえたい
  2. 長女を(受託者)として信託契約をする
  3. 受託者である長女は収益不動産等からの収入を父(委託者・受益者1)に渡しますが、父の死後は長男(受益者2)に渡していく

【パターン2】

  1. 親戚を(受託者)として自分(委託者・受益者1)の死後、長男(受益者2)に財産を引き継がせる
  2. 長男に子供がいない場合、相続人は主に長男の妻になるが、長男の妻ではなく次男(受益者3)に引き継がせる
  3. さらに次男の死後は次男の子供(受益者4)に引き継がせる

【パターン3】

  1. 子供がいない夫(委託者・受益者1)が自分の死後、認知症の妻に財産を引き継がせる
  2. 親戚(受託者)が遺された妻(受益者2)のために財産の運用・管理を行う
  3. 妻の死後、親戚に残余財産を帰属させる

このように、自分の思い通りに自分が築いた財産を引き継ぎできるのが家族信託です。
ただし30年ルールというものがあり、30年先までしか指定できないので注意が必要です。

まとめ

相続が争族になってはいけません。

遺された家族が亡くなった方をしのびながらも、仲良く暮らしていけるような遺言または家族信託を作ってくださいね

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